自転車用損害保険を武器に飛躍
奥野 一輝(おくの かずき)
貿易会社や大手OA機器メーカーの営業マンなどを経て、埼玉県熊谷市で損害保険会社の販売代理店を開業。
昨年から自転車に特化した損害保険商品を販売中
経営者同志、事業の話は尽きない。奥野代表と宮本議員
地元で自転車保険の営業を行う奥野代表
個人経営の保険代理店で奮闘する青年部員
奥野― 僕は埼玉県熊谷市で、損害保険会社の専属代理店を営んでいます。大手OA機器メーカーをはじめ、営業畑の仕事をしていましたが、知人から声をかけられたことがきっかけで、損害保険会社の研修期間を経て3年前に独立開業しました。それまで飛び込み営業で鍛えられてきましたし、成績はいまひとつでしたが(笑)、顔は売ってきたつもりなので、やってみようかと。
宮本― 飛び込み営業ですか。あれは精神的に強くないと、継続できないですからね。実は私もかつて、飛び込み営業をしていたんですよ。
家業の酒蔵を継いだ頃は、まだ県外に出荷していなかったので、県外に用事で出かけるたびに、グルメ雑誌などで目星をつけておいた地酒専門店などに、アポなしで出向いていました。でも、「石川県の宮本酒造店です」なんていったところで、誰も知らない(笑)。
奥野― 宮本さんにも、そんなご苦労があったんですか。僕も心が折れそうになったことは何度もありましたが、今では、それが役に立っていますね。
でも、近年の保険業界は、ネットの普及などで代理店自体の存在意義が薄くなってきています。しかも、当社のような専属代理店で、かつ個人店は今後、合併などの動きも十分考えられる厳しい状況にあることも事実です。
宮本― ITで保険のあり方も大きく変わってきていますよね。個人で代理店をしていた私の知人も、地域の大きな代理店に集約されましたから、状況は理解できます。
奥野― でも、結論を出すのは早い、きっとまだ何かできることがあるはずだと考えていたんです。
そんなとき、以前の仕事で知り合った高級自転車の輸入販売店の方から声をかけられたんです。自転車に特化した損害保険商品がないのかと。近年は、スマホを片手に自転車を運転していて人身事故を起こすといった話を見聞きすると思いますが、今までは加害者にとって、こうしたケースで高額補償に対応できる自転車用損害保険がなかったんです。だから、話をもちかけられたときには、これは当社の武器になると思いましたね。
損害保険会社にかけあって、商品化してもらい、昨年6月から、販売を開始しました。1ヵ月あたり30件ほどの新規契約があります。
宮本― いいところに、着目されましたね。時代はモノ消費からコト消費に変わり、趣味で自転車を楽しむ人も増えていますしね。
青年部の場で保険のアピールは?!
宮本― 営業はどうされているんですか。ターゲットをどう定めるかでも変わってきますよね。
奥野― 基本的に、自転車をローンで購入した方は自動的に加入する仕組みになっています。そのため目立った営業活動はできていません。初心に返って近隣にチラシのポスティングを始めたばかりなんです。
宮本― たとえば、もし自転車通学している自分の子どもが自転車で人身事故の加害者になったら……。そう考えたら親は心配ですよね。
中学生くらいまでの子どもをもつ親世代、つまり、それは青年部世代なんじゃないでしょうか。
奥野― あっ! まさにそうでした‼
宮本― 青年部は、お互いに利用されながら利用するところなんですよ。まず先に「利用される」ことをおすすめしますけどね(笑)。
青年部で集まったら、「こんな保険があるんだけれど」と、メンバーに話してみればいい。商品に魅力があって納得できる部分があれば、加入したいと考える部員もいるはずです。
奥野― 今日は営業のいいアイデアもいただきました。もう、うずうずしています。
宮本― 仕事での営業活動も、青年部活動も、結局は人と人との営み。人の心をいかに動かすか、なんですよね。
いってみれば青年部活動に一生懸命取り組むということも、人の信用を得るという意味で営業活動だと思います。人と人との信頼のうえで、商売的なつながりも生まれていくのではないでしょうか。
奥野― その通りですね。がんばります!
※本ページにある記事・写真は「月刊商工会」より引用
https://www.shokokai.or.jp/shokokai/gekkan/