地域の事業者を持続化補助金が後押し
中嶋 千代子(なかしま ちよこ)
株式会社ナカシマ専務取締役、新潟県能生商工会女性部長。
新潟県糸魚川市で和洋菓子の製造販売業を営み、市内に和洋菓子店「ナカシマ」2 店舗を展開
店舗に入って正面奥がガラス窓の工房。糸魚川発、世界基準の味を目指します
地元の米粉100%の米粉練乳サンド。2011年ニッポンアワード入賞で、地元でもお取り寄せでもロングランの人気商品に
老舗菓子店が販路開拓などに補助金を有効活用
中嶋― 当社は新潟県糸魚川市で和洋菓子店「ナカシマ」を営んでおり、創業90周年を迎えた昨年には、4代目としてシェフの長男が社長に、営業・販売担当の次男が副社長に就任しました。
宮本― それはよかったですね。しかも、ご兄弟で力を合わせて家業を継いでいらっしゃるのですね。
中嶋― おかげさまで、無事に世代交代をさせていただきました。
息子たちはこれまで、外に販路を広げるための武器として製菓コンテストに挑戦し、2011年と2013年に、フランスのクリームチーズ「キリ」のコンテストの焼き菓子部門で最優秀賞を受賞。2016年には、「ブコ」というデンマークのクリームチーズを使った製菓コンテストでも大量販売を目的としたマスプロ部門でグラ
ンプリをいただきました。
宮本― すごいですね。さらに地元新潟県の食材を使ったお菓子づくりにも力をいれられて、糸魚川産コシヒカリの米粉を使ったお菓子は、2011年に農林水産省主催の「フード・アクション・ニッポン・アワード」で入賞したとうかがっています。
そして中嶋さんは商工会の女性部長としても、部員さんを引っ張っていらしゃる。
中嶋― ありがとうございます。当社はもちろんですが、女性部の会員にとっても大きな力になったのが、宮本さんが先頭に立ってつくられた小規模企業振興基本法です。小規模事業者持続化補助金により、商工会とのつながりもさらに強くなりました。
当社では、販路が広がり始めているなかでも、まだお金をかけられない時期に、持続化補助金を2回活用し、パンフレットの作成や展示会・商談会への出展を行いました。その後は、ものづくり補助金も活用して、工場設備の入れ替えなどを行うこともできました。
持続化補助金は、女性部の多くの部員が使わせていただいています。「トイレを直したいけれどお金をかけられない」などという事業者が、トイレを直して、気持ちよく、自信をもって商売ができる。
宮本― そういっていただけるとうれしいですね。小規模事業者は経営基盤が強くないので、こういった補助金が挑戦をスタートするうえで応援になります。こうした足がかりになる補助金を、みんなが上手に使い、次のステップにつなげられたらいいなと思います。
ただ中嶋さんの場合では、コンテストへの参加などの挑戦が、持続化補助金ができるよりも前ですから、我々の準備が間に合いませんでしたね(笑)。
中嶋― いえいえ、ちょうど販路を広げたい、いいタイミングで活用させていただきました(笑)。
地域でがんばる皆さんが事業を続けられるために
宮本― 中嶋さんの会社では、補助金の制度を上手に使っていただいていると思います。
同業他社との差別化を図る過程で、持続化補助金を活用し、抜け出たときに、今度はもっと高いレベルでの事業展開のために、ものづくり補助金を活用されています。
正直いって、ものづくり補助金の申請は簡単ではありません。きっと苦労されたことでしょう。それでも挑戦し、計画を立てて次のステップに踏み出されたことは、とても大きなことだと思います。さらなる飛躍を期待しますね。
中嶋― 私の地域でも、大型店の進出の影響や後継者不在などで商工会の仲間が廃業せざるをえない状況が、身近に起きています。私たちはずっと地域に根ざして、いわば地域の色や音を育んできました。だからこそ、私たちはしがみついてでも、その土地で商売を続けるためにがんばっています。
宮本― 中嶋さんたちのように、地域に根ざし、地域でご商売されている小規模事業者の方々がこれからも元気に事業を続けられるよう力を尽くしていきたいと思います。
補助金というのは、事業者さんが挑戦するのを応援する温かい追い風のようなものです。
それを有効に活用してもらうためにも、情報発信をはじめ、自分でも挑戦できるかも知れないと共感をもってもらえるように、これからも取り組んでいきます。