宮本しゅうじ対談_vol.06

ITや女性の活用で人手不足を乗り切る

森瀬 仁(もりせ ひとし)

株式会社エムジー代表取締役。
愛知県の足助商工会青年部部長を経て2009年、第18代愛知県商工会青年部連合会会長に就任。現在、全国商工会壮青年部連合会副会長を務める

宮本しゅうじ対談_vol.06
スマホに連動した腕時計。どこにいてもLINEなどの情報が確認できる。事業効率化のための必須ITツールだ 
宮本しゅうじ対談_vol.06
慣れた手つきでスマホを使い、レストランの情報や勤務シフトの調整をやりとりする女性スタッフ

「月刊商工会」より
https://www.shokokai.or.jp/shokokai/gekkan/

青年部活動や事業において率先してIT化を実践

宮本― 今回の対談相手の森瀬さんは、愛知県豊田市で飲食店やケータリング事業などを展開されていて、愛知県商工会青年部連合会会長も務められました。私が全国商工会青年部連合会会長の時代には、ITに詳しかった森瀬さんの主導で、インターネット(スカイプ)会議を推進したこともありましたね。当時は、社会全体のライフスタイルが変化し始めていたときで、いい意味で我々は刺激を与えてもらいました。
森瀬― もう10年以上前になりますが、足助商工会の青年部時代から、後継者育成事業として地域にWi-Fiスポットを何ヵ所か設置したりしていました。ITの世界は当時よりさらに進化・低コスト化しています。br>
宮本― 事業のうえでも積極的にITを活用していますよね。
森瀬― 以前は複数の店舗の売上報告をメールで行っていましたが、今ではLINEという便利なツールができたので、とても楽ですよ。約40人いる従業員の9割が女性で、ほとんどがパートの主婦の方なのですが、彼女たちはみんなスマホをもっていて、教えなくても最初からLINEが使えますしね。各店舗の状況報告や勤務シフトの調整結果など、私はどこにいても、スマホと連動した腕時計でLINEなどのやりとりができるので、とても効率的です。

働く人の希望に合わせて会社がマイナーチェンジする

宮本― IT活用は、商売人にとって情報発信や収集のうえでも大切だと思いますが、これからの人手不足を補うためにも有効ですよね。今後働き手が減っていくなか、IT化も含めた省力化、効率化、機械化を促進していくことが求められると思います。といってもIT化の点では、私よりも森瀬さんが詳しかったですね(笑)。
森瀬― 弊社でも人手不足はとても大きな課題ですね。仕事があっても人が足りない。ときには店を休みにせざるを得ないくらいです。従業員の多くは主婦なので、昼の1時間だけ出勤できる人もいれば、保育園に子どもを迎えにいくまでなら働ける人もいる。そこで、こうした人たちを効率よく配置して、うまく回していかなければなりません。その際にもIT活用でネット上のカレンダーを共有すれば、とても楽なんですよ。それに、今や1時間でも働ける人がいるなら、会社のほうがその人に合わせていくしかない。スタッフの能力によっては、メニュー数を減らすといったサービス内容の変更も考えていかないといけません。
宮本― 同感ですね。女性などの人材活用は、人手不足対策のあるべき姿のひとつだと思っています。これまでは、あくまで会社側の都合で求人を行ってきたわけですが、今やその条件に合わなければ、人を雇用することが難しい時代ともいえます。しかも、そもそも地域に働き手が少ないのに、奪い合っても仕方がない。だからこそ人材をシェアすることも考えていくべきではないでしょうか。たとえば、午前中忙しい会社と午後忙しい会社のマッチングで人材をシェアするようなこともありえない話ではない。また、「この時間なら働いてもいい」という声に対して、会社が事業をマイナーチェンジしていくことも必要になってくると思いますね。
森瀬― ところで私は現在、全国商工会壮青年部連合会の副会長をさせていただいています。壮青年部は、後継者ではなく経営者がほとんどなので、仲間と集まって話をしていても、レスポンスの速さを実感します。たとえば、ある補助金の話題が出れば、あちこちで「使えないか」と現実的な話をしている。スピード感がありますよ。
宮本― 森瀬さんのいうように、壮青年部の方々は、すぐにアクションを起こして結果を示すことができます。やるか、やらないか、即断できる。だから、ITを駆使した事業の改革でもいいですし、率先して新しい取り組みに挑戦し、そのための補助金をどんどん活用してほしい。そうして、ほかの事業者さんの刺激や参考になるようなモデルをつくってもらいたいですね。